- 2012-03-03 Sat 06:59:11
- 映画評を見る(洋画)

いい映画だ。荒削りで骨太な味がいい。
アルドという男が、4人の女、イルマ、エルヴィア、ヴィルジニア、アンドレイーナを渡り歩く話、というより4人の女にアルドが拾われる話。
場所はイタリア北部。つまりイタリア半島の付け根を東西に流れるポー川の流域。見渡す限り平坦で荒涼とした大地だ。家々はまばらに点在し、それでも寄り添って暮らし、村をなしている。村を離れると、荒々しい風以外本当になにもない寒々しい土地。
この村に製糖工場がある。ここに勤めるアルドは、イルマと同棲してもう7年、ふたりの間には娘がひとりいる。イルマの夫は海外に行ったきり帰国しない。村では何かと、うわさになるアルドとイルマだった。

映画冒頭、イルマは警察に呼ばれて外国にいる夫の死を知った。その直後、イルマはアルドに対して一方的に要求と告白をする。別れてくれ、実はあなたとは別な男と、関係が出来ていたと。アルドにとって青天のヘキレキ、あわててイルマを説得するがイルマはガンとして耳を貸さない。決めちゃったの。とうとうアルドは娘を連れて家を出た。

アルドと娘はポー川沿いの土手を川下へとたどり、行き着いたのは、イルマと付き合う以前の女・エルヴィアの家だった。いまだ独り身のエルヴィアは温厚・家庭的な女で父娘を暖かく受け入れようとする。(→)

しかしアルドはここを去り、タンクローリーの背に乗ってヒッチハイク、道路はひたすらまっすぐに続く。次にたどりついたのは道沿いのガソリンスタンド。老父を抱えて独身ヴィルジニアが店を切り盛りしている。彼女は見るからに哀れな父娘を泊めてやり、翌日からアルドはガソリンスタンド・マンになる。なんかうまく行きそうだ。

しかしそのうちヴィルジニアはアルドの娘の世話を嫌がりだし、アルドは娘をイルマの元へ返してしまう。ということはアルドは未だにイルマを忘れられないでいる。

ある日、ここも出て行ってしまうアルド。だいぶ精神的によれよれだ。暖かく拾ってくれたのが河岸の小屋に住むアンドレイーナ。
回復したアルドは問題の先送りを止め、決心して元の村に帰っていった。村ではひと騒動が起きていた。そしてアルドと映画の結末はどこへ・・・。
脚本においてアルド、その娘そして女4人の人物描写があいまいだ。登場人物間のドラマと言うよりも、広大なポー川流域の荒涼さに対して、人々の存在のちっぽけさを描きたかったんじゃないかと思います。だからか、細やかな人情/感情表現や物語の継続/関係性は、省略のために切る部分はざっくり切られていて、そこがワイルドで、今となっては結構魅力的。

監督:ミケランジェロ・アントニオーニ|イタリア |1957年|102分|原題:The Cry|IL GRIDO
原案:ミケランジェロ・アントニオーニ|撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ|
脚本:エリオ・バルトリーニ、エンニオ・デ・コンチーニ、ミケランジェロ・アントニオーニ
出演:スティーヴ・コクラン (アルドAldo)|アリダ・ヴァリ (イルマIrma)|ドリアン・グレイ (ヴィルジニアVirginia)|ベッツィ・ブレア (エルヴィアElvia)|リン・ショウ (アンドレイーナAndreina)|ガブリエラ・パロッタ (Edera)|Mirna Giradi (Rosina)
男が少ない
太平洋戦争後、戦死した兵士が多く男性の数が少なくなっていた時代。この作品の根底にある事実です。
イタリアの砂糖
イタリアの砂糖産業はポー川沿いに集中している。最終製品は「ズッケロ・ビーツ」とかになる。原料は砂糖大根、テンサイ、ビーツとか言って北海道でも栽培されている。この映画作品の村にも広大な畑が出てくる。春に植えられ夏から収穫され、製糖期間は8月から11月である。よってアルドの工場は年間4ヶ月しか稼動してないのだろうか。
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